近刊予告

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精神病理の形而上学
[2018年6月刊予定]
ピーター・ザッカ―  Peter Zachar(2014):A Metaphysics of Psychopathology
植野仙経、深尾憲二朗、村井俊哉、山岸洋 訳

ZacherJacket精神医学においては、ある精神障害が存在するかどうかを問うことに疑問がもたれることはほとんどない。同様に、心理学の領域でも、知能、超自我、パーソナリティー特性といった理論をめぐっては論争が絶えない。しかし、このどちらの分野においても「実在する」というやや抽象的な哲学概念が何を意味しているかについてはほとんど議論されることがない。実際、ある種の精神障害では、実在する症例がイメージを作り上げてきたし(たとえば多重人格障害)、あるいはイメージが実在する症例を作り上げてきた(たとえば外傷後ストレス障害)。著者は、精神医学で用いられてきた用語、すわなち曖昧かつ現実離れした「存在する」あるいは「実在する」といった用語に着目し、それらをきわめて重要な哲学的概念として考察する。そうした考察に基づいて、精神医学における疾患分類や精神病理学といったアプローチが意味しているものを探求する。

科学に立脚したプラグマティズムの立場から、著者は、本質主義のバイアス、診断における直解主義、自然種、社会的産物といった概念の主要な論点を俎上に載せる。精神医学の諸問題に詳細に向き合うことによって、精神障害の領域に関連する新たなモデル、すなわち相対主義でもなく本質主義でもない「不完全コミュニティ」モデルの構築を提唱する。著者はこのモデルを駆使し、たとえば近年注目を集めた議論、DSM-5において自己愛性人格パーソナリティ障害を排除しようとする動きを検討している。実在、真理、対象といった概念を見直すことにより、様々な概念を形而上学的に解釈し、哲学的に考察する必要があると主張する。

【目次】
第1章 はじめに:サイエンス・ウォーズ、精神医学、実在論の問題
第2章 科学に触発されたプラグマティズム
第3章 道具的唯名論
第4章 心理学的本質主義と科学的本質主義
第5章 場違いな直解主義
第6章 直解主義と権威への不信
第7章 客観性は、経験の外部ではなく、経験の内部にある
第8章    精神科疾患の分類と概念
第9章 四つの概念的抽象化:自然種、歴史的概念、規範的概念、実践種
第10章  悲嘆は本当に疾患なのか?
[四六判/並製/約350頁/予価(本体4000円)発行予定2018年7月10日]

 

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メランコリア 

Taylor, MA & Fink, M    松木秀幸/松木麻妃 訳
本書は、自殺、精神病症状、カタトニア(緊張病)と関連する重症の気分障害としてのメランコリーについて、包括的レビューを提供する。同症候群9780511544330iは、診断、予後、および治療戦略、これと紛らわしい他の精神疾患、神経疾患、および一般身体疾患との鑑別において他と明瞭に識別し得る疾患として定義される。気分障害の分類および生物学に関して今日受け入れられている説に挑み、治療可能な精神疾患としてメランコリーを定義する。千年にわたり医学書に記載され、文献的にも文学上においても術語として用いられてきたメランコリーは、以前の診断分類システムには含まれていたが、後になって姿を消した。本書は、診断に関する議論をアップデートし、その特徴を詳述し、治療および予防を促進する。本書により、あまりにしばしば誤診を受け、時に致死的なこの疾患に大きな希望を与えたいと願っている。気分障害の患者を治療する全ての人に本書が届くことを願っている。(「序文」より)
[A5判/並製/約500頁/予価(本体5000円)発行予定2018
年]