霜山徳爾著作集

霜山徳爾著作集について 霜山徳爾氏の多領域にわたる言説は、いわゆる専門的研究者だけでなく、広く人間の生と死を探究する読書人一般の関心を喚起しつづけてきました。日本という特異な風土のなかで、ヨーロッパ的な精神と東洋的な精神の諸相を、心理学、精神病理学、哲学、宗教あるいは文化論といったボーダーレスなフィールドにおいて、霜山氏ほど端整かつ華麗に謳い上げた研究者はほとんど見当たりません。氏の比類のない筆致で描写される「正常」と「異常」の世界、真摯な人間探究の試みは、まさしく日本の文化史に大いなる光明を幾重にも与えてきました。氏が個々の著作として発表された言葉の多くが、おのおのの時代精神を反映しつつも、文学的・芸術的作品として普遍的な価値を孕み、時間的空間的な相異にかかわりなく、今後も多くの人々に感銘を与えつづけてゆくであろうことは想像に難くありません。氏が二十世紀後半期をとおして語りつづけてきたこと、世に問いかけてきたことを今世紀の大いなる知的資産として編纂し、二十一世紀の読者に提供したいとの希いを込めて、本著作集の刊行を企画いたしました。本著作集には「多愁多恨亦悠悠―心理療法の問題集」、「歌集―通奏低音」などの未発表作品(書き下ろし)も収録されています。

著作集の刊行を伝える新聞記事等
(朝日新聞 読売新聞 産経新聞 週刊読書人)

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■■■ 全7巻の構成 ■■■
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第1巻 明日が信じられない
・・・・・・・・ 解説 妙木浩之
収録作品  明日が信じられない―幸福の条件/人間とその蔭/極限の孤独/人間学的心理療法における日本的特性―死と少女/都市の死/モイラのくびき 【1999/10】
■ 定価3400円+税 ISBN4-906502-15-6 (A5判、上製カバー装、346ページ月報=武田秀一)

第2巻 天才と狂気 人間の限界
・・・・・・・・・ 解説 加賀乙彦
収録作品  私のモーツアルト/アンリ・デュパルクの病跡/スメタナの病誌/デューラーの「メランコリア」/ウィルヘルム・レームブルックの病跡/「大いなる正午」体験-ニーチェについて/詩と革命のはざま-ヘルダーリンの病蹟への疑問/人間の限界/エルドラードと分裂病  【2000/8】
■ 定価3800円+税 ISBN4-906502-20-2 (A5判、上製カバー装、352ページ月報=徳田良仁・徳田秀子)

第3巻  現存在分析と現象学
・・・・・・・・・ 解説 加藤敏
収録作品  実存分析/現存在分析/ハビトゥスの問題/味知覚と人間―人間学的考察/信仰と妄想―宗教精神病理学より/体験された時間/人格への実存的接近//ミンコフスキーへのオマージュ-「精神のコスモロジーへ」補稿/ 【2001/2】
■ 定価3800円+税 ISBN4-906502-17-2 (A5判、上製カバー装、272ページ月報=黒川由紀子)

第4巻  心理療法と精神病理
・・・・・・・・・ 解説 山崎久美子・妙木浩之
収録作品  疎外・孤独・絶望―無常と火宅/衝動の病理/幻覚と知覚/永久運動の病理/病める性/「心身医学の非神話化」(M・ボス)について/ロージャズと人間学派/体験された自由―マリア・モンテッソーリ頌/死に臨む人々―臨床心理学から/白秋から玄冬へ―老人の正と死/心理療法とドラマトウルギー 【2001/6】
■ 定価3800円+税 ISBN4-906502-18-0 (A5判、上製カバー装、308ページ月報=平山正実

第5巻 仮象の世界
・・・・・・・・・ 解説 山中康裕
収録作品  仮象の世界 ―「内なるもの」の現象学序説/不在者の浮上―イメージ心理学の基盤/此岸性のはたて―精神病理学から/詩と人間―連句療法の基盤 【2000/10】
■ 定価3600円+税 ISBN4-906502-19-9 (A5判、上製カバー装、258ページ月報=中井久夫)

第6巻 多愁多恨亦悠悠
・・・・・・・・・ 解説 上野千鶴子
収録作品  多愁多恨亦悠悠―心理療法の問題集(残照の言葉)/素足の心理療法 【2000/2】
■ 定価4000円+税 ISBN4-906502-20-2 (A5判、上製カバー装、367ページ月報=門脇佳吉)

第7巻  時のしるし
・・・・・・・・・ 解説 横山恭子
収録作品  【小品集】飢えと「うた」/哀しい日々の記憶―特攻作戦について/地下足袋と洋服―茂吉のこと/大学の畸人/山本七平氏のこと/フランクルと私/祖父の自殺/市精神医学者のインド紀行(M・ボス)/昭和初期の軽井沢/【エッセイ】「児童研究」より/通奏底音 【2001/7】
■ 定価4000円+税 ISBN4-906502-21-0 (A5判、上製カバー装、380ページ月報=平尾真理)

 

著者略歴
(しもやま・とくじ) 1919年7月5日東京に生まれる。1942年東京大学文学部心理学科卒業。1950年上智大学助教授、1957年同教授、1980年文学部長、1990年退職。1990年上智大学名誉教授。1989年―1996年東洋英和女学院大学教授。この間に、成蹊大学、聖心女子大学、東京藝術大学、日本女子大学、東京医科歯科大学、東京保育専門学校などの講師も兼任。1993年 勲三等瑞宝章受勲。フランクル『夜と霧』、ボス『東洋の英知と西欧の心理療法』などの訳者としても知られる一方、内外の文学・芸術作品を介した独自の精神病理学的世界を確立。わが国の臨床心理学、心理療法の草分け的存在の一人。2009年10月7日没(90歳)。