書 名 バイリンガルな日本を目指して
副 題  イマージョン教育からわかったこと
著 者 マーシャル・R・チャイルズ  
訳 者 中里京子訳

・ 小学校から必修化された英語!このままでよいのだろうか?
・ ネイティブ教師と日本人教師、本当はどちらがよいのか?
・ 9年続いたDaily Yomiuri の名コラムから生まれた画期的提言。



2011. 7   学樹書院

ISBN978-4-906502-35-6 C1010

四六/上製/296頁/税込定価2310円(本体2200円)
チャイルズ博士のビデオメッセージ 公開中

  目次 本書について 著者について 書評・その他


● 推薦します=塩崎勉 (元東京都立国際高校校長、元全国英語教育研究団体連合会会長)

日本ツウのチャイルズ博士による本書はとにかく面白い。英語教育にかかわる人にも、そうでない人にも、読んで楽しく、学んで有益な本である。日本における英語教育について論じながら、興味深い体験談や意外なエピソードを縦横無尽に語ってくれる。さながら脱線好きの大学の先生の講義を聴いているかのようである。そして価値づけや総括の部分では思わず「うーん」と考えさせられてしまう。この本は考えるヒントにあふれた文明論でもある。

  目 次 

序文 (D・ベイカ)
はじめに          
第一部 なぜ日本人は英語が苦手なのか 
A 敗北主義と外国恐怖症          
英語に対する日本の「鎖国防衛」/より身近な「鎖国」/敗北という「自己成就の予言」/日本とベルギー
B 音声パターン      
聞き取りの生理学/言語間の距離/日本語の語音と英語の語音/とるべき手段
C 満足な手本が足りない?    
学生は何を耳にする?/手本をまねることが必要なときとは?/手本をまねることがもっとも有益な年齢は?
D 言語が機能する方法に関する誤解 
何を教えるべきか/私が学生に伝えていること/文法がなかったら、混乱しないか?/教師を責めるべきではない
E 制度のようになってしまった慣行  
文法はいかにして「誘引的ニューサンス」になったか/学校には、ほんとうの英語の居場所がない/変化への抵抗
F 財政上の制約と工場型の教育  
文脈を外された知識/英語教師の再訓練は万能薬ではない/入試を目的とした指導/ペースについてゆけない生徒の悲しき運命/ヤシンカさんの落胆/組立工場型の教育
G 英語教育をまどわせる公然の秘密   
タダシイさんの説明/公然の秘密/組立工場型の教育に代わるもの

第二部 改善の手がかりとしての新しいアイデア
A 乳幼児の言語習得   
言語の習得は子宮の中で始まる/六歳までの言語習得/子供は言葉を追加ではなく置き換えによって習得する/臨界期の件はどうなったのか?
B 学校教育の組み立て方   
英語指導は小学一年生で始めるべきか?/?五〜七歳期のシフト?における言語の喪失/子供たちは迅速に習得し、迅速に忘れる
C 教師たち  
日本人英語教師の長所と短所/英語を媒体として授業を行う/日本人英語教師への公開書簡
D 英語教育の実際   
借用語の最大活用/空所補充法は包括的な言語体験/学習能力のピーク期間
E 信じることが生み出す風潮  
言語における“can do”の姿勢/結局のところ、英語のどこがいいのか?

第三部 長期目標と可能性
A 言語とアイデンティティ      
日本語の将来は?/野生児と臨界期
B 英語のイマージョン   
言語処理は脳全体を使う/英語のイマージョンと日本人の心/イマージョン・プログラムの第一期卒業生/イマージョン教育からわかったこと/就学前のイマージョンについて/英語イマージョン教育を成功させるレシピ
C バイリンガルな日本を目指して  
二言語併用主義におけるウェールズの経験/幼児をマルチリンガルに育てる/認知されるべきときに来ている日本英語(Japanese English)/日本における英語の将来/歴史と伝統

D 最後に      
教師と生徒のみなさんへ/言語学習における政策

穴埋め問題の解答例    
訳者あとがき   


執筆者紹介

著者
マーシャル・R・チャイルズ Marshall R Childs
1950年代から60年代にかけてハーバード大学、ニューヨーク大学、コロンビア大学で、英文学、経営学、社会学などを学ぶ。1960年以降、米国IBMのマーケット・アナリストを経て、1985年IBMアジアパシフィックコーポレーション(東京)の市場評価プログラム担当マネージャーとなる。在日中に日本人を対象とした英語教育に対する関心を深め、1991年以降は本格的に日本における英語教育に関与しはじめる。1997年テンプル大学で教育学博士の学位を取得。青山学院大学、加藤学園などで英語教育、教材・プログラムの開発に従事してきた。現在、テンプル大学日本校で、アメリカ史、心理学、言語学などの指導に当たっている。2009年、同大の”Teacher of the Year” (最優秀教師)に選出された。

序文寄稿者(本書のコーディネイター)
ディヴィッド・ P・ベイカ David P. Baca
上智大学卒業後、オクラホマ大学大学院、テンプル大学日本校に学ぶ。教育学修士。明治学院大学、テンプル大学日本校、神奈川大学、明星大学、JALアカデミーなどで英語指導に従事。現在、エンドウ語学スタジオ共同オーナー、多摩美術大学非常勤講師。

訳者
中里京子 (Nakazato, Kyoko)
早稲田大学教育学部卒業。翻訳家。実務翻訳家としても20年以上の実績をもつ。 主な訳書、カンピオン『ピアノレッスン』(学樹書院)、ジェイコブセン『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、ドウォーキン『地球最後の日のための種子(文藝春秋)、アントニー『パニック(きっと上手くいく10の解決法シリーズ) 』(創元社)、スクルート『不死細胞ヒーラ』(講談社)など多数。


"Don't Blame the Teachers" by Dr Childs