(書 名) PMSバイブル
(副 題)  ― 月経前症候群のすべて ―    
(著 者) K・ダルトン、W・ホルトン
(訳 者) 児玉憲典

英語圏ではPMS(月経前症候群)を扱った最も信頼できる本として、世代を超えて読みつがれてきたロングセラー。
PMSに悩む女性はもとより、ホルモン環境の変化が女性の行動にどのような影響を及ぼすのか、その対策として最良の方法は何かについて考えるすべての人々に読んでいただきたい文字どおりのバイブル。

2007. 7.   学樹書院

ISBN978-4-906502-31-8 C00471

A5判/272頁/税込定価¥2625(本体¥2500)

  目次 本書について 著者について 書評・その他

 

目 次

第1章 はじめに  1

第2章 PMSとは何か  7

第3章 PMSの診断  12

第4章 PMSの症状  27

第5章 PMSの身体的な症状  41

第6章 PMSはホルモンの病気  63

第7章 プロゲステロン療法の盛衰  76

第8章 通常の婦人科の診察  87

第9章 心理学者による乗っ取り  91

第10章 教育とPMS  96

第11章 思春期  103

第12章 青年期のPMS  ジェニー・ホルトン  110

第13章 痛みと月経  114

第14章 結婚  121

第15章 男性への助言  131

第16章 母親  138

第17章 PMSと避妊  146

第18章 仕事と遊びにおける女性  154

第19章 PMS法廷に行く  166

第20章 子宮摘出術あるいは卵巣摘出術のあと  175

第21章 閉経期  186

第22章 治療へのアプローチ  202

第23章 PMSに対するカウンセリング  ウェンディ・ホルトン  210

第24章 三時間ごとのでんぷん質の食事  216

第25章 プロゲステロン療法のきまり  223

第26章 精神科の治療  229

第27章 妊娠と産後抑うつ症  233

第28章 臨床治験  240

第29章 彼女たちは今どうしているか  244

第30章 もっと公平な未来を  254

訳者あとがき 


 

本書について
 月に一度、まるで決まりごとのように、世界中の家庭が大混乱に陥ります。月経前の体調の乱れや月経痛などが、いつも必ず襲ってくるからです。せっかく幸せな生活を送っている夫婦やカップルたちでも、そのために関係が台無しになってしまうことさえあります。なぜなら、そのときカップルの一方は、何をしでかすかわからない、理屈の通用しない女性、つまりPMS(月経前症候群)によって、暴力的な女性に変貌してしまっているからです。この本では、PMSにはどのような症状があるのか、どうすればそれがPMSであることがわかるのか、またPMSがどのように診断され、最終的にどう対処すればよいのかという問題について解説します。PMSは世界中でもっともよく知られている病気の一つではありますが、思いもよらない事件でも起こさない限り、あまりにも軽視されすぎているきらいがあります。この本は、PMSに苦しむ女性たちだけのために書かれたわけではありません。女性たちのパートナー、家族、友人、同僚、隣人たちにも、PMSについて知り、その正しい診断や治療について理解してもらうことをねらいとしています。

 また、この本は、女性ばかりでなく男性たちにも、なぜ女性がこのような気まぐれやかんしゃくを起こすのかを理解していただくためのものでもあります。不安定で浮気性、落ち着きのなさ、憂うつ、気難しさといった女性のイメージを思い浮かべるとき、そうした特徴のすべてが月経ホルモンの働きの浮き沈みと、それが細胞内に及ぼす影響という観点から捉えられるということを理解する必要があります。現在、英国では百万人以上の女性が毎月毎月この問題に苦しんでいるといわれていますが、この問題は解決が可能な問題ですし、また解決しなければならない問題でもあるのです。

 PMSについて考える場合、それがじつにさまざまな形をとって現れてくることを知っておかなければなりません。この問題を取り上げたあるテレビ番組で、アルコール依存、幼児虐待(二四五頁のダイナを参照)、夫への殴打、神経症という四つの事例を紹介したところ、番組終了後に、この放送が多くの視聴者の目を釘付けにしたことをうかがわせる多数の手紙が病院に届きました。それらの手紙には、つぎのようなことが書かれていました。

「こんなにも多くの女性が、わたしが生理前に感じるのとまるでそっくりの、激しい怒り、憎悪、憂うつな気持を経験しているのを知って、とても慰めになりました」

「わたしもあの番組に出ていた女性とまったく同じです」

「誰にも信じてもらえないだろうと思い、人に話したことはありません」


 ■著者/訳者について

 キャサリーナ・ダルトン(Katharina Dalton )
1916年に英国で生まれ。1953年、PMSに関する英国初の論文を発表。以来、ロンドンのユニバーシティ・カレッジ病院でPMSの女性の診療に従事、そこに世界初のPMSクリニックを開設し、PMS、産後抑うつなど、関連するさまざまな疾患についての研究を進めた。PMSのプロゲステロン療法は、工場、学校、刑務所、商店、病院で効果が確認され、広く知られるようになった。
 チャールズ・オリバー・ホーソンBMA賞、アップジョン・フェローシップ、シャーロット・ブラウン賞、ロイヤル・フリー・ホスピタルからのカレン賞、ロイヤル・カレッジ・オブ・ジェネラル・プラクティショナーズからの英国片頭痛協会賞など多数の賞を受賞。1971年、彼女は王立医学協会一般診療部門における初の女性会長になる。
著書の数は膨大で、なかでも本書は16ヵ国語に翻訳されている。
Wendy Holtonはダルトンの娘である。


 児玉憲典 (こだま・けんすけ)
1944年生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。医学博士。現在、杏林大学医学部教授。早稲田大学、明治大学などの非常勤講師も勤める。専門は臨床心理学。わが国の臨床心理学研究のパイオニアの一人と目される戸川行男に師事し、人格や性格の研究をとおしての心理学研究に従事。哲学、精神分析、内分泌精神医学などにも造詣が深く、欧米の重要な著作の翻訳は多数に上る。主な著訳書に、『分裂病の精神病理6』(共著、東大出版会)、タラチョウ『精神療法入門』(川島書店)、ブロス『息子と父親』(誠信書房)、ダルトン『PMS法廷へ行く』(誠信書房)、プリンス『失われた〈私〉をもとめて』(学樹書院)など。

関連情報 「失われた〈私〉をもとめて」について