病気のない世界 医療は人類を救えるか(シュワルツ、渡会圭子訳)

病気のない世界 医療は人類を救えるか

W.B.シュワルツ
渡会圭子 訳

 

今日の医療はどこへ向かおうととしているのか。
アメリカの医療革命の軌跡をふり返りながら、近未来のテクロノジーと医療政策がもたらす大変革をスリリングに占う

ISBN4-906502-24-1 C0047(2002年6月発行)
四六型/216頁/定価(2000円+税)

 

 


目 次

プロローグ 医療ユートピアの夢
第一部 ユートピアへの中間点 一九五〇年から二〇〇〇年
一 高額医療の誕生と成長
二 コスト抑制努力の頓挫
三 医療システムの改革

第二部 二十一世紀の医療 その光と影
四 来るべき時代の医学の進歩 二〇〇〇年から二〇二〇年
五 医療の制限 イギリスの先例
六 アメリカにおける、マネージドケアと医療の制限
七 より公正な制限のための戦略
八 コスト抑制と裁判

第三部 分子医学のブーム到来 二〇二〇年以降
 九 分子医学 治療法への応用
十 ユートピアへ 二〇五〇年が迫る
エピローグ/訳者あとがき/文献と原注 

本書について(カバーより)
現代の医療には、誰もが希望と失望が混在した複雑な想いを寄せているに違いない。われわれは果たしてユートピアへ向かっているのだろうか、あるいは医療そのものを破綻させてしまう方向に向かっているのだろうか。今日、最新の治療技術、医療過誤や医事紛争、病院経営の破綻、医療財政の危機など、医療に関する重大ニュースが報じられない日はほとんどないが、そうしたニュースの本質的な意味は、一般の目には必ずしも十分にはみえてこない。医療に関するテーマには例外なく、医学、政治、経済、倫理、法律などの問題が複雑に絡み合っているからだ。著者は本書において、アメリカが辿った医療改革の軌跡をこの上なく明快な筆致で解説しつつ、将来の医療テクノロジーがもたらす変化、医療制度のさらなる改革の行方を予測する。言い換えれば、本書のテーマは、1950年代から2050年代までの医学界における主な出来事ということにもなる。先端医療、政治経済、倫理・哲学、社会学など、あらゆる領域の動向を見据えながら、医療の根本問題に迫るスリリングな医学的文明論。

著者/訳者について(いずれも出版当時のものです)
ウィリアム・B・シュワァルツ 南カリフォルニア大学医学部教授。太平洋医療政策・倫理センター。南タフツ大学医学部長、アメリカ腎臓病協会会長、ランド・コーポレーションの医科学部プログラム主席顧問。共著に、「痛みを伴う処方:病院での治療の制限」(1984)。

わたらい・けいこ  翻訳家。東京都出身、上智大学文学部卒業。『複製sれるヒト』(共訳、翔泳社)、『クローン 是か非か』(共訳、草思社)、『「お金の達人」7つの教え(徳間書店)、『「顧客力」が世界を制す』(早川書房)ほか、訳書多数。