ラカンは間違っている 精神分析から進化論へ
エヴァンス/桜井直文監訳・富岡信一郎訳
[四六判/上製/86頁/定価1400円+税
ISBN978-4-906502-34-9]
ラカンの精神分析は治療技法として役に立つのか? 臨床家としての経験をもとに精神分析のタブーに挑戦。『ラカン派精神分析入門事典』の著者が厳しく問うラカン派学説の意義。
「ラカン派精神分析事典」の著者として知られる元ラカニアンによるラカン思想への痛烈な批判と決別宣言。ラカンの精神分析は臨床的に無意味なのか、ラカンは妄想に取りつかれていたのか。アメリカでカウンセリングを学んだ訳者が、客観的な立場から著者のラカン批判の妥当性について考える。
「ラカンの奇妙な比喩の意味を理解しようとするうちに、彼のつかう小難しい言葉や言い回しは、彼が自身の考えに対して抱いていた迷いの表れであるということが明らかになっていった。他の注釈者はラカンを真似て曖昧さを大事にしたが、私はその靄を取り除き――たとえそれが、皇帝は裸であったという事実を目撃することになるとしても――表面下にあるものを露呈したかったのだ。」(エヴァンス)
著者・訳者紹介(本書刊行当時のものです)
ディラン・エヴァンス(Dylan Evans)
1966年英国ブリストル生まれ。ロボット工学,医学哲学,精神分析などの研究者。主な著書に『感情』(岩波書店), 『超図説 目からウロコの進化心理学入門―人間の心は10万年前に完成していた』(講談社)、「ラカン派精神分析入門事典」(未訳)ほか多数。現在,University College Cork, 医学部行動科学部門講師を務める。
桜井直文
明治大学教授 著書に『スピノザと政治的なもの』(平凡社)、 訳書にイリイチ『生きる思想 反=教育/技術/生命』、オング『声の文化と文字の文化 』(藤原書店)など。
冨岡伸一郎
(カウンセラー) 現在、都内の路上生活者支援施設にて相談員として活動中。